『終わりの始まり』

無骨なパイプ椅子に座らされる。
と思いきや立って歌わされる。
だが悪い気はしなかった。
だからといって特別いい気もしない。
なぜならそれは終わりの歌だから。
数々のメモリーが浮かんでは消えた。
それはまるで走馬灯のようだった。
あぁ、もうここに戻ることは二度とないのか。
人間アーチをくぐりながらふと考える。
思えば色々あったな。楽しいことも辛いことも。
過ぎてみればその時間はとても短く感じた。
左胸に付けた模造の花が、
どこかさみしそうに揺れていた。

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