『はじめてのしんさつ』

俺は今、とてもヤバイ状態に置かれている。(我流
恋人と別れ、妹は嫁ぎ、親からの仕送りも絶たれ、まさに絶体絶命なのだ。(しず
そのうえたばこの吸い過ぎで末期がんになり、今にも命は絶たれようとしていた。(我流
そんな時だった。俺の前に一人の少女が現れ、俺にこう告げた。
「びょうき、なおらいないと、死んじゃうの?」
4・5歳くらいだろうか?髪や服装、肌、全てにおいて白い中、瞳だけが紅かった。(しず
妹フェチの俺はその子にいきなり抱きついた。
「え・・・?なに!?」
俺はその子のナイチチをつつきはじめた。(我流
だが、少女は気にする事無く。
「なにが、したいか、しらないけれど。だきついても、つついても、びょうきは、なおらないよ。」
冷静に考えてみれば、そうだった。
妹フェチだからってといって、突然抱きつく馬鹿がどこにいる。
少女からと離れ。距離をとる。
「そうだね、お兄さん、治らないと死んじゃうかな……」
「なおすほうほうが、あったら、どうする?」
「そりゃ……」
……どうするんだろう。(しー
治るわけがない。だからこそ「もしも」の話は至極単純だった。
「治して、たくさん楽しい事して、家族を作って行きたいかな……。もっと、たくさん…生きたいな……!」
俺の目には、いつの間にか涙が浮かんでいた。(しず
「そして…君とおいしゃさんごっこしたい」(我流
「うわ、どんびき、まじきも、なんだけど」
「どこで、そんな言葉覚えたんだ少女よ」
「ちかよらないで、はなしかけた、わたしが、ばかだった、じゃあね」
「あっ……ちょ、ま――」
離れようとする、少女の手を掴んでいた。(しー
「ごめん、違うんだ…君みたいな子供って、色々感じ取りやすいからさ。重たい空気を作りたくなくて…」
 しばらくの沈黙が2人の間に訪れる。(しず
そう言いつつ、俺は聴診器に手をかけていた。(我流
「なんで、そんなもの、もってるの、ド◯えもんなの?」
「趣味」
「いやな、しゅみも、あったものね」
「趣味」
「にども、いわなくていい」(しー
少女はふぅ、と軽く溜息をつくと正面に向き直って微笑んだ。
「おにいたんのこと、知らないけど、少しだけならいいよ?楽しいこと、いっしょにしよ?」(しず
「おにいたんね、楽しいこと想像したらね、さきっちょからちょっとだけ白いのでちゃったみたい・・」(我流
「しろいのって、なに?よーぐると?いと?というより、さっきからなにをいってるの?」
「それは」
少女の様子がおかしい。ってか瞳、更に紅くなってませんか?
「想像してとか馬鹿じゃないの?どんだけ、ド変態なのよ貴方。
私は楽しくなさそうね。少しだけならいいとか言ったけど、さっきの無し」
「え……いや、え?だから楽しい事を――」
「黙れ」
一蹴された。(しー
少女趣味の上ドMだった俺には願ってもない事態だった。「あふん///」(我流
先程とは違い、侮蔑の眼差しで一瞥し、その場を去った。
興奮で自分の世界に入ってしまっているのか、気付く事も無かった。(しず
俺は正気に戻った。「あれ、そういや俺のガン治すって話どこいったん?w」(我流
あ!そうか、新手の放置プレイか……悪くない。
なら、あの少女が戻ってくるまで、ここで待ってみる事にしよう。
1日目、来ない。
2日目、来ない。
3日目、来ない。
4日目、来ない。
5日目、餓死。
ガンでの死では無く、餓死。
俺の人生はここで幕を閉じた。
あの少女に期待した俺が馬鹿だった様だ。(しー
俺は最後まで聴診器を握りしめていた。(我流

Fin

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