『オペレーションオブイラク The army of Ansar Al-Sunnah 最終話』
合衆国陸軍第101空挺師団
第三特殊作戦旅団
ドナルド・ウェイン少尉:♂
ジェシカ・マクレイン衛生兵:♀
アンソニー・ナイト上等兵(語り):♂
フレデリック・ホワイト上等兵:♂
アンサー・アル・スンナ軍
タージュッ・ディーン:♂
アレッサ:♀
HQ:♂
合衆国陸軍第二作戦分遣隊
デルタ・フォース
ニック・フォート中尉:♂
ジョセフ・ミール軍曹:♂
レイミー・パウロ軍曹:♂
テリー・ファインド軍曹:♂
カイル・フォートランド軍曹:♂
ザック・バイザー軍曹:♂
ミハイル・バウアー軍曹:♂
コック・ロンド軍曹:♂
クリス・スライド軍曹:♂
マック・ボーデン:♂
CIA:♂
背景 7月7日
マックボーデン:なに!?デルタが全滅!?ソースは確かだったはずだ。くそっ!
HQ:こちらHQ、デルタ部隊が全滅した。繰り返す。デルタ部隊が全滅した。全部隊に次ぐ。
至急現場に急行し、全兵力を以ってイスラム武装勢力を駆逐せよ。座標目標459-230-336アウト。
101空挺師団
ウェイン少尉:HQ了解した。
HQ:先の空爆により、米兵と思われる人影を2名目視した。生死を確認し、救出援護せよ。
ウェイン少尉:了解。聞こえたか?アレッサの可能性が非常に高い。現場に急行し、確認する。いいな!
ナイト上等兵:マジかよ…アレッサ…生きていたのか…。
ホワイト上等兵:よかった…少尉、急ぎましょう。
ジェシカ衛生兵:……。
ナイト上等兵:でももう一人って誰だ?
ホワイト上等兵:さぁ…とにかく直接会って確かめよう。
背景 カタール空爆地点
タージュッ・ディーン:やはりな…来ると思ったよ。
アレッサ:当たり前でしょ!?後に引けないのは同じなんだから。
タージュッ・ディーン:ははは…そうだな。いくぞっ!!
SE 銃声
アレッサ:はぁはぁ…拳銃だけじゃちょっと辛いかな…てへっ。
タージュッ・ディーン:俺のライフルを使え。拳銃は任せろ!
SE 激しい銃撃戦
背景 アレッサとタージュッ・ディーンは一度退却する。
タージュッ・ディーン:戻れ!このままじゃ押し切られる!!民兵にここは任せて撤退だっ!!!
アレッサ:了解!!援護するわ。行って!!
SE AK-47銃声 フェードアウト
フォート中尉:集合!!いいか、よく聞け。これが最後の戦いとなる。最終目標は、
ナジャフ北東部に位置する高架橋だ。ゲリラを一掃し、時限爆弾を解除、
人質を救出し、援護、帰投する。絶対にミスは許されない。作戦地域には
民間人も多数確認されている為、発砲の際には細心の注意を払え。
死者も出るだろう。
しかし我々は世界最強と謳われるデルタフォースだ。その自覚を忘れるな!
死んだ仲間の為にも…必ず作戦を成功させるぞ!!
先に目標空域には爆撃機が向かっている。エリアBからエリアCを経由、
徒歩で移動を開始。高架橋にはC3および発火式爆弾が4基設置されている。
解除には数十秒がかかる為、爆弾処理班を死守せよ。人質救出にはブラボー6、
爆弾解除援護にはアルファ3が担当、他は散発的な銃撃に対処。質問はあるか?
…それじゃあ、出発だ。
無線通信
ミール軍曹:作戦本部、こちらガルファ23、目標空域に移動中。距離、約3マイル。
パウロ軍曹:ガルファ11、爆撃準備完了。目標空域エリア確保。投下セレクター以上なし。
テリー軍曹:こちらスライダー25、空港を制圧、空域脱出後、編隊に入る。以上。
カイル軍曹:リトルバード、目標空域に接近中。チョーク1からチョーク5、気を抜くなよ。
最終目標確認、高架橋に多数のゲリラ目視。降下1分前、エリアB降下用意!
チョーク1からチョーク5降下開始。エリアB異常なし。周囲警戒中。ヒューリー!
繰り返す!ヒューリー!デルタチーム降下完了。空域離脱!
ザック軍曹:こちらチョーク1からチョーク3、右翼側を援護しろ!チョーク5は左翼をカバー、
ミハイル軍曹:チョーク3了解。
コック軍曹:チョーク5了解。
クリス軍曹:HQ、こちらチョーク2、ゲリラに発見され銃撃を受けている。応戦許可を。
HQ:発砲を許可する。繰り返す、発砲を許可する。デルタチームは規定の
行動を開始せよ。以上。
ザック軍曹:戦術横隊!!RPGっ!!HQ、そこら中から撃たれてる!!チョーク1は
隊員2名KIA繰り返す!隊員2名KIA!!ブレイク!!
ミハイル軍曹:こちらチョーク3、狙撃手発見!北北西約1マイル!遮蔽物に隠れろ!くそぉっ!!
HQ:こちらHQ、チョーク2は狙撃手排除を最優先、チョーク1を援護せよ。
クリス軍曹:チョーク2、HQ了解!
101空挺師団
背景ハンヴィーの内
SE 車両音
ウェイン少尉:このあたりのはずなんだが…。
ナイト上等兵:向こうから銃声が聞こえますね。
ホワイト上等兵:そこを200m直進。突き当りを左。そこが現場です。RAMで確認しました。
ウェイン少尉:あぁ…聞こえるな。近いぞ。HQ,目標現着。交戦に入ります。
HQ:HQ了解。
SE ブレーキ音
ウェイン少尉:ナイト、辺りの警戒を頼む ホワイトは装備の点検だ。
ホワイト上等兵:了解。
ハンヴィーの扉の開けて双眼鏡を覗くナイト。
ナイト上等兵:…………ん?
背景 戦場から走り去る人影を見つけた。 その中によく見た髪色があった…。
ナイト上等兵:………おい あれって……。
ウェイン少尉:どうした。
ナイト上等兵:アリー!!! アリー!!!!
ジェシカ衛生兵:なんですって!!!!
ウェイン少尉:どこだ!!!
ナイト上等兵:八時方向! 倉庫街です!!
ウェイン少尉:追うぞ!!ナイト、中に戻れ!!
背景 アレッサ タージュ・ディーンはどうやら逃げ延びたようだ。
背景 倉庫街 どこかの雑居ビル1F
タージュ・ディーン:くそっ!!やつら、兵力を集中させてるぞ!このままじゃ…。
アレッサ:落ち着いて。まだ手はあるわ。まともに相手にしてたらそれこそよ。
弱い拠点を叩いて注意を逸らすの。それから仕掛けても遅くはないわ。
SE ハンヴィーの音
タージュッ・ディーン:静かに。誰か来る。
アレッサ:ハンヴィーだわ。気付かれた!?
タージュッ・ディーン:わからないが安全装置を外しておけ。
アレッサ:わかったわ。
101空挺師団
ウェイン少尉:このビルか…。
ナイト上等兵:もしここにアレッサがいるなら助けなきゃ。
ジェシカ衛生兵:無駄よ。アレッサはもう軍の人間じゃない。向こうについたのよ。
ナイト上等兵:どういうことだ?
ホワイト上等兵:それはどこから…?
ジェシカ衛生兵:無線が入ったの。今まで黙っててごめんなさい。アレッサはあの戦闘で捕虜になって
指揮を取っていた男を好きになってしまったらしいの。もう手遅れ。いざとなれば射殺も辞さないわ。
ナイト上等兵:ホントかよ…。
ウェイン少尉:事の真相は本人に聞こう。行くぞ!!
背景 雑居ビル
タージュッ・ディーン:アレッサ。彼らに投降するんだ。君は死んではいけない人間だ。いいな?
アレッサ:嫌よ!ここまできていまさら…
タージュッ・ディーン:黙れ!!!降伏して身の安全を第一に考えろ!!!言うことを聞け!!!!
アレッサ:タージュッ…?
タージュッ・ディーン:俺とはここでお別れだ。元気でな。
アレッサ:そんな…ひどい……あたし…あたし…(泣き崩れる)
タージュッ・ディーン:…。…いけ。
アレッサ:ひっく…えっく……
タージュッ・ディーン:行けと言ったら行けぇぇぇ!!!!!!!!
背景 101空挺師団突入
タージュッ・ディーン:なにっ!
アレッサ:はっ!!
ウェイン少尉:動くな!!!武器を捨てて腹這いになれ!!!!!
タージュッ・ディーン:誰がなるかっ!!!
SE 発砲音
ナイト上等兵:撃ってきたぞ!!!
背景 逃げるアレッサ
ウェイン少尉:ナイト、ホワイト、ジェシカ、アレッサを追え!!こいつは俺が仕留める。
SE 銃撃戦
タージュッ・ディーン:地獄に堕ちろ!!アッラーワクバル!!!
ウェイン少尉:異教徒が神を語るな!!!!!
ウェイン少尉:ひとつ聞く……サマワ南西部で指揮を執ってたのは貴様か?
タージュッ・ディーン:なんのことだ…
ウェイン少尉:いや…貴様だよな…じゃなきゃアレッサを捕虜にしてるなんてありえない……上官の仇だ、
死んでもらうぞ、異教徒。
タージュッ・ディーン:ほざけっ!!!!!!!!ぐはっ…あ゛ぁ……。
ウェイン少尉:死ねぇぇぇぇ!!!!!
背景:タージュッ・ディーンを殺害した。
アレッサ:あぁ…イヤ……イヤ…イヤぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!
SE AK-47 掃射
背景:全員壁に張り付き身を隠す。
ナイト上等兵:くそっ!!!あいつ何考えてやがる!!
ホワイト上等兵:完全に敵になったようだなチクショウ!!!
ジェシカ衛生兵:なんとか取り押さえましょう!!!発狂してる!!!
背景:アレッサの銃声が止み、飛び出すナイト。
ナイト上等兵:アリー!!!もうやめっ…。
SE ハンドガン数発の音
ジェシカ衛生兵:ナイト!!!
アレッサ:甘いわね。銃はライフルだけじゃない。はははっ…
ホワイト上等兵:くそっ!!援護する。ナイトを連れ出せ!!!
ジェシカ衛生兵:わかったわ!!!
SE 拳銃VSライフル
ウェイン少尉:何があった!!ナイトがやられたのかくそっ!!!
SE 銃撃戦
背景 全員弾切れ。
ウェイン少尉:ホワイト、みんなとハンヴィーに乗れ。HQに報告しろ!
ホワイト上等兵:了解!!!
アレッサ:はははっ…弾なくなちゃった…はははっ……。
背景 飛び出すウェイン
アレッサ:!?
SE ナイフの刺さる音
アレッサ:あ゛…ぁ…くぅっ……痛い。痛いよ少尉。
ウェイン少尉:…。急所は外してあ…ウソだろ。お前わざと……。
背景:自分に刺さったナイフをさらに自分で押し込むアレッサ。
ウェイン少尉:やめろアレッサ!死んじまうぞ!!
アレッサ:ん゛ん…ぐぅっ……はぁはぁはぁ…いいの少尉。もういいの…。
ウェイン少尉:手を放せアレッサ!!!
SE ナイフの抜ける音
アレッサ:ごほっ…
ジェシカ衛生兵:アレッサ!!!!!
ウェイン少尉:すまんジェシカ。急所は外したはずだったんだが…。
ジェシカ衛生兵:アレッサ!!アレッサ!!!
アレッサ:お…お姉……ちゃん…?
ジェシカ衛生兵:あんたって子は…何考えてんのよ…。
アレッサ:ご…ごめんなさい…ごめっ……さい
ジェシカ衛生兵:ここじゃ止血できない。病院に運ぶから頑張りなさい!
アレッサ:あたし…バカだよね……みんなの事大好きだった…なのにっ…ごほっ…。
ジェシカ衛生兵:喋らないで!体力が…。
アレッサ:も…もぅ…終わりにする……これが…あたしの信じた道だった………。
ジェシカ衛生兵:アレッサ…。
背景 ある日のバースディパーティー
アレッサ:スニーキー!!あー来た来た、よしよしよし♪
ジェシカ:アレッサ焦げちゃうわよー。
アレッサ:はぁーい♪
ウェイン:やっぱり休日はビールだよな。
ナイト:そうっすよね〜日頃の疲れが一気に吹き飛ぶ。
ホワイト:あんまり飲みすぎるなよ?お前酒癖悪いからなw
ナイト:いいじゃねぇか。今日くらいさー
ジェシカ:みんな焼けたわよぉーアレッサも早くっ。
アレッサ:はぁーい♪スニーキー!
ナイト:ウマそうだな!はははっ!
ホワイト:腹減ったー
ウェイン:よし!みんな!いいかー始めるぞー
一同:ハッピーバースディアレッサ!!!
SE クラッカー
アレッサ:みんなありがとーーー!!あたしも24かぁ〜
ジェシカ:そうよー?そろそろ大人になりなさい。軍のアイドルはいいけどみんな鼻の下伸ばして
あんたを見てんのよ?w
アレッサ:そんなの知らないもーん♪みんなが優しくしてくれてるからあたしはすっごく嬉しいよ^^w
ジェシカ:あのね〜^^;
背景:
ナイト上等兵:アレッサの誕生日は7月7日。とてもラッキーだ。入隊直後から注目の的となり、
人気者になっていた。アレッサは普段は天然っぽい面があるが、ライフル徽章、
皆勤奨励勲章など、真面目な勤務態度、優秀な軍人だった。夜になり、俺はアレッサと
二人きりになってプールサイドを歩いていた。…アレッサと二人きりになると…こうなんか
照れる…><
アレッサ:ナイトはさー今の仕事…好き?
ナイト:う、あ、あぁ…好きだよ。なんたってアメリカを守る軍人さんだからな^^w
アレッサ:そーだよねー。あたしもこの仕事誇りに思うよ。いつか戦場に行って仲間の為に戦いたい。
ナイト:そんなのダ、ダメだよ…ダメダメ。アレッサは国の中で自分の役目をしっかり果たすんだ。
アレッサ:えーなんでー?
ナイト:ほら、撃たれたら痛いし、死んじゃうかもしれないんだよ?
アレッサ:そうだけど…。うーん…ナイトのいぢわるぅー。
ナイト:あはは…ごめんごめん。あ…あのさアレッサ。
アレッサ:ん?なぁに??
ナイト:もしさ…もしだよ?俺がその…えっと…アレッサの事…す、すーはー
アレッサ:何々?ちゃんと言ってよー?
ナイト:うん!もしさ!俺がアレッサの事好きだって言ったらどうする?
アレッサ:えっ…あ、あの…えっと…。
ナイト:嫌か?やっぱり…。
アレッサ:違う違うの!えとね…なんて言えばいいかわかんなくて…はぅ。
背景
言っちまった…とうとう…絶対ジェシカに殺される…。アレッサの顔が真っ赤だ。
アレッサ:私も…好きって言ったらどうする…?
ナイト:えっ!嬉しいよ!!すっごく!うんっ!!!!
アレッサ:もぅ、あんまり大きな声で叫ばないでよ、恥ずかしいじゃんかー。
ナイト:だってだってずっとずっとアレッサの事想ってて…でも告白できなくて…ふぅ。
アレッサ:えへへ…男の子なんだからもっとらしくらしく♪……ねぇ…。
ナイト:えっ?…あっ!
アレッサ:ん…はむぅ…くちゅ…はぁ…んっ
ナイト:んっ…ふぅ…んっ……
アレッサ:あんっ…あんまり胸触らないでよぉ……苦手なん…ふうっ……はむぅ…
背景 俺たちは深いキスを交わし合った。
アレッサ:みんな……楽しかったよ…お母さんとお父さんに……ナイトに…ごほっ……ごめんなさいって伝えて…。
ジェシカ衛生兵:何言ってるの!!一緒に帰るんでしょ!?気をしっか…
アレッサ:お姉ちゃん……。
ジェシカ衛生兵:??
アレッサ:あ゛り……が…と………。
ジェシカ衛生兵:アレッサぁぁぁぁぁぁ!!!!!アレッサぁぁぁぁ!!!!なんで…なんでなのよ!!こんな事って
…。ひどすぎる……。
ウェイン少尉:終わったか…。ジェシカ。ハンヴィーに乗れ。遺体を回収して帰投するぞ。
ジェシカ衛生兵:……。はい少尉。
ウェイン少尉:こちらブラッディ・エンジェル。HQ、作戦を完了した。生存者なし。ヘリを要請する。アウト。
ウェイン少尉:ヴァイス大尉…あなたなら……どう判断したでしょうね…。
ナイト上等兵:アレッサは失血多量でこの世を去った。
彼女は国家反逆罪として扱われたが、遺体は戦没者の墓に埋葬
された。これは異例のことである。俺達101空挺師団は戦線を離れ、普通の生活に戻った。
俺が大好きだったアレッサが生きていたという証は、今となっては俺達の記憶だけになっていた。
戦死者記録 7月7日
タージュッ・ディーン:享年32歳
アレッサ・ウォーカー:享年25歳
ナイト:後日談として語っておこう。アレッサの葬儀に俺は出席した。全員が涙を流す中、俺はなぜか
泣けなかった。アレッサを愛していた事、目の前で助けてあげられなかった事
手を差し伸べて届かなかったアレッサのか細い手。俺の目の前で死んだアレッサは、どこか微笑んでる
ように見えた。アレッサ…ホントにありがとう。好きって言ってくれてありがとう。
天国から見守っていてくれ。幸せだったよ…。上を見上げると空はとても青かった。一枚の白い羽が
風と共にひらひらと舞っていた。
最終話 END