『オペレーションオブイラク The army of Ansar Al-Sunnah 第四話』

 合衆国陸軍第101空挺師団

       第三特殊作戦旅団

    ドナルド・ウェイン少尉:♂

    ジェシカ・マクレイン衛生兵:♀

    アンソニー・ナイト上等兵:♂

    フレデリック・ホワイト上等兵:♂



     合衆国海軍海兵隊第一師団
         第六遠征先遣隊

    ジャック・コーネリアス軍曹:♂

    スミス・レイン軍曹:♂

    パトリック・ホーウェン少佐:♂

    アンサー・アル・スンナ軍

    タージュッ・ディーン:♂

    ムーニス:♂

    バースィル:♂

    アブドラ・ジャナニ:♂

    アレッサ・ウォーカー:♀

    UPI通信東京支局

    萩原 美紀:♀

    柿崎 裕也 カメラマン:♂

    合衆国国家安全保障局(CIA)

    マック・ボーデン:♂

    合衆国空軍第六飛行中隊

    イヴ・アイザック少尉:♀

    クレア・フォルター伍長:♀

    合衆国陸軍第七戦車連隊

    ブライアン・ガートナー少尉:♂

    ルドルフ・アーヴィン軍曹:♂

    マック・モーリス軍曹:♂

    ナレーション:♂♀

 背景 7月6日

  度重なる戦闘、死体に群がるカラス達に兵士達の指揮は落ち込んでいた。

  銃弾の一発が生死を分ける戦場では、恐怖は毒と同じである。

  じわりじわりと蝕み、最後には人間の精神を崩壊させ、凶行に走らせる。まさに毒である。

  そんな中、海兵隊の隊員ジャック・コーネリアス軍曹は、先の後方拠点の凄惨な光景に憤慨し、

  敵兵士の遺体に暴行しているところを逮捕された。だがこれは口実である。


  コーネリアス:いつまで閉じ込めておくつもりだ?

  CIA:初めまして。私はCIAのマック・ボーデンだ。君に聞きたいことがいくつかある。

  コーネリアス:俺はいつまで閉じ込めるつもりだと聞いてる。

  マック:質問をするのは私の方だよコーネリアス君。

  コーネリアス:さっさとここから出しやがれくそったれ!!!!!

  マック:落ち着け。正直に話せばすぐに釈放してやる。いいな?

  コーネリアス:てめぇ…

  マック:君は陸軍の後方拠点、α-k2が襲われた現場を見たそうだね。

  コーネリアス:あぁ…あんたも見たのか?

  マック:酷い有様だったな。

コーネリアス:なんで俺が拘束されなきゃいけねぇ!!あんたも見ただろうが!!!

  マック:敵とはいえ死者を冒涜するのが君の正義かね?

  コーネリアス:くっ…

  マック:いいかね。我々は君をどうこうするつもりでここに連れてきたわけじゃない。

  コーネリアス:何が言いたい。

  マック:…率直に聞こう。君は後方拠点が襲われた経緯について情報を持っているね?

  コーネリアス:知るか。そっちの仕事だろうが。

  マック:早くここから出たいだろう。嘘は通用しない。

  コーネリアス:くそっ!女だよ。女が集団の中にいたと。

  マック:ほう。どんな女かね。

  コーネリアス:アメリカ軍兵士の装備だったと。

  マック:では君は裏切りによって皆殺しにされたというんだね?

  コーネリアス:あぁ…。絶対許さねぇ。

  マック:その裏切り者の名前は?誰かね。

  コーネリアス:俺が知るか!!

マック:この女性…だね?

 背景:マックは一枚の写真をジャックに見せる。それは可愛らしい20代前半の女性だった。

  コーネリアス:名前はホントに知らねぇ!ただ女とだけ…

  マック:わかった。協力ありがとう軍曹。

  コーネリアス:おい!!ふざけんなてめぇ!!!放せっ!くそったれぇぇぇ!!!!

 背景:独房に連行される。

マック:裏は取れてる。証言も取れた。救出作戦をデルタにやらせろ。尋問は私がする。現場に行こう。

背景:101空挺師団

  ウェイン少尉:なんだと!?…後方拠点が制圧…そんなバカな!

  ホワイト上等兵:えぇ…今しがたHQからの連絡が入りました。全員戦死だそうです…。

  ウェイン少尉:あり得ない…。後方拠点設置は極秘だったんだぞ?

  ジェシカ衛生兵:まさか…。

  ウェイン少尉:ジェシカ、何か心当たりでもあるのか?

  ジェシカ衛生兵:あっ、いえ。なんでもありません。

  ウェイン少尉:みんな。何か情報を掴んだらすぐに報告に来てくれ!

一同 了解!!!※代表一名でも可

  ジェシカ衛生兵:……。

  ナイト上等兵:おい!アレッサは!?アレッサはどうなった!?

  ウェイン少尉:未だ消息不明だ。

  ナイト上等兵:くっそぉ!!!いつまでも海兵の仕事なんかやっていられるか!!!

  ウェイン少尉:その通りだな。掛け合ってくるから少し待て。

 背景:海兵隊の指揮官に事情を説明し、一同はようやく任務から解放された。

  ウェイン少尉:聞け。海兵隊からハンヴィーを一台借りることができた。

         これからアレッサの捜索及び救出に向かう。いいな。

  ホワイト上等兵:あの頭の固い奴からよく許可をもらえましたね少尉。

  ウェイン上等兵:少尉:まぁな。さすがにHQからの連絡なら抵抗はできないだろう。

  ナイト上等兵:ざまぁみろ。

  ウェイン少尉:ナイト。口を慎め。

  ジェシカ衛生兵:あの…少尉。少しお話が。

  ウェイン少尉:どうした。

  ジェシカ衛生兵:ここじゃちょっと…

  ウェイン少尉:…?わかった。ホワイト!!ナイト!!車両の点検をしてこい!

          CALの具合も見ておくんだ!!

  ホワイト上等兵:わかりました少尉!

  ウェイン少尉:それでジェシカ、話とはなんだ。

  ジェシカ衛生兵:あの…、アレッサの事なんですけど……。

  ウェイン少尉:何か知ってるのか?

  ジェシカ衛生兵:単独無線が入ったんです。拘束はされているものの、身は安全だと…。

  ウェイン少尉:おい!なぜ今まで黙っていた?みんなホントに心配してるんだぞ!?

  ジェシカ衛生兵:ごめんなさい。はっきり場所が特定できなかったので時期尚早かと。

  ウェイン少尉:傷はどうした。かなりの深手を負っていたじゃないか。

  ジェシカ衛生兵:手当は充分にしてもらったと…今は大丈夫だと言ってました。

  ウェイン少尉:無線は繋がらないのか?こちらからの連絡は?

  ジェシカ衛生兵:全く通じません。周波数もその都度変えているようで…。

  ウェイン少尉:くそっ!…場所の見当もつかないのか?

  ジェシカ衛生兵:次の連絡を待ちましょう。必ず情報を聞き出します。

  ウェイン少尉:わかった。車に乗れ。襲撃された地点に向かうぞ。周辺を捜索する。

  ジェシカ衛生兵:了解。

 背景 カタール戦闘地域。さまざまな報道が流れる中で、戦場のありのままを伝えようと、

    多くの取材陣が入っていた。UPI通信の萩原美紀もその中の一人だ。


  美紀:この建物ならいい画が取れるわね。

  裕也:でも気をつけないと狙撃されるぞ?ここは窓が広い。撮影にはいいが危険だな。

  美紀:バーカ。勤務何年目?死に目に何度あったかわからないあんたがそんなんでどうするのよ。

  裕也:俺は撃たれなきゃそれでいい。

  美紀:室長がいたら怒るわよー?報告書は私が書くわ。

  裕也:ちょっ、待てよ。ちゃんと仕事はするから勘弁してくれよ。

  美紀:わかったわよ。早くスタンド設置して。壁からレンズ出しちゃダメよ?

  裕也:はいはい。

 背景 電話が鳴る

  美紀:萩原です。…はい。室長の方は?…わかりました。映像は三日前後でそちらに。…はい。

      わかりました。では。

  裕也:室長何だって?

  美紀:カタールはアメリカ軍が制圧中だから、少数のゲリラに注意しろだって。

  裕也:窮鼠猫を噛むってか?ここは二階だが早めに撤収しよう。

  美紀:わかったわ。

 背景:米軍による総攻撃の開始である。

  イヴ・アイザック少尉:こちらパトリオット2、目標地点まで6マイル、攻撃許可を申請します。

  ブライアン・ガートナー少尉:こちら戦車連隊エイブラムス8、目標地点まで0.3マイル、攻撃申請!!

  クレア・フォルター伍長:こちらリトルバード1、目標地点まで1.8マイル、移動中!!

  イヴ・アイザック少尉:空爆地点、150.08.220、LGB−21投下用意!!

  ブライアン・ガートナー少尉:全車停止!捕捉目標確認!主砲装填用意!!

  イヴ・アイザック少尉:派手に行くわよっ!LGB−21第三セーフティ解除、第二セーフティパス認証!!

                最終ロック、グリーン、投下5秒前!!!

 SE

  イヴ・アイザック少尉:LGB投下!!

 SE

 ブライアン・ガートナー少尉:撃てぇぇっ!!!!!
 
 SE

 ルドルフ・アーヴィン軍曹:撃てぇぇっ!!!!!

 SE

 マック・モーリス軍曹:撃てぇぇっ!!!!!

 背景:猛烈な攻撃に取材陣も必死である。

  美紀:きゃぁ!!!!あぅ…。

  裕也:撤収するぞぉぉぉぉ!!!!

  裕也:行け行け!!!

  美紀:米軍の空爆よ!!!

  裕也:クラスターだ!!そこを離れろぉ!!!

  美紀:ぎゃぁ!!!

  裕也:美紀!!!美紀!!!!

 背景 萩原 美紀 クラスター爆弾により死亡。享年32

コーネリアス:ん…誰だ?

  レイン:ジャック、大丈夫か?

  コーネリアス:その声は…レインか。

  レイン:大丈夫か?今出してやる。

  コーネリアス:あいつはどうした?俺をここにブチ込んだやつだよ。

  レイン:そのブチ込んだやつから出せって言われたんだよ。

  コーネリアス:なんだと?あのクソ野郎が出せって?

  レイン:そうだ。釈放だ。

 背景 レインが独房のカギを開ける。

  コーネリアス:ありがとな。これからどうする?

  レイン:海兵隊に戻ろう。俺たちは黙って雑用してるのがお似合いなんだよ。

  コーネリアス:さっさと帰ろうぜ。

  レイン:あいつらは…。

  コーネリアス:可哀想だが俺たちの仕事じゃない。あいつらだって分かってるだろ。

  レイン:お前が聞いた女ってどんな奴なんだ?

  コーネリアス:さぁな。ただ裏切り者なのは間違いねぇ。CIAのクソ共はもう調べはついてるんだろよ。

  レイン:そうか…。

  ホーウェン少佐:二人とも。今しがた連絡が入って、どうやらCIAとデルタフォースが合同作戦を展開するらしい。

            極秘の後方拠点を特定した犯人の居場所を突き止めたようだ。
            
  レイン:なぁ…、ジャック、俺たちも行くか?仲間の敵討ちが出来るぞ。

  コーネリアス:もう面倒事にはうんざりだ。元々の仕事に戻ろうぜ。

 背景:MP3音源をお聞き下さい。合同作戦の音源です。

アブドラ・ジャナニ:ムーニス。タージュッ・ディーンを始末しろ。ただ公にせずそう仕向けるんだ。

  ムーニス:準備は整っております。ジャナニ様のシナリオ通りに…。

  アブドラ・ジャナニ:うむ。CIAが動いている。こちらの作戦が勘付かれる前に実行しろ。

  ムーニス:承知しました。ご連絡はいつ頃…?

  アブドラ・ジャナニ:全てが片付いたら連絡しろ。あの御方もそれをお望みだ。

  ムーニス:アッラーの御為に…。

 背景 音源の作戦は失敗。デルタ壊滅。

  タージュッ・ディーン:ムーニス。なぜ撃った。成功はしたがやり過ごせと言ったはずだ。

  ムーニス:射殺される危険があったからです。当然の行為だと思いますが。

  タージュッ・ディーン:貴様、指示を無視するつもりか。

  ムーニス:貴方こそ我々に何か隠し事があるんじゃないんですか?

  タージュッ・ディーン:どういう意味だ。

  ムーニス:貴方は裏切り者です。ジャナニ様もご存じの事実です。あの女を匿い、自分のものにしようとなさった。

  タージュッ・ディーン:なんの話だ。

  ムーニス:貴方はもう敵と認識しています。ジャナニ様が貴方を殺すでしょう。

  タージュッ・ディーン:全て知られている以上貴様を生かしておくわけにはいかない。死んでもらうぞ。

  ムーニス:本性を現しましたね?

  バースィル:動くな!!!銃を捨てろ!!!

  ムーニス:一度に二人は殺せない…。ふふふ。

  タージュッ・ディーン:くそっ!

  ムーニス:その女も拘束しろ!

  バースィル:大人しくしろ!!

  アレッサ:やめて!離してよっ!!!

 背景:二人は拘束され、跪いた状態で並んでいた。

 背景 拘束されたアレッサとタージュッ・ディーンは隠していたカットナイフを取り出し結束帯を切断した。
  
    タージュッ・ディーン:(小声で)アレッサ、いいな。ナイフで結束帯を切ったらムーニスをやれ。

                 俺はバースィルを仕留める。

    ムーニス:なにっ!

    バースィル:ぐあっ!!

  背景 もつれ合う四人。銃声が鳴り響いた。

    アレッサ:はぁはぁ…やったわね。

    タージュッ・ディーン:あぁ…もう戻れないな…俺たちは孤立したようだ。

    アレッサ:これからどうするの?

    タージュッ・ディーン:これ以上は逃げ隠れできない。もう終わりだ。

    アレッサ:何言ってるの!?お姉ちゃんに頼んで救援を…

    タージュッ・ディーン:アレッサ。もう戦争ごっこは終わりだ。

    アレッサ:嫌よ!!私は諦めない!あなたも生き延びるの!!!

    タージュッ・ディーン:アレッサ…今まですまなかった。君を危険な目に遭わせた挙句味方を敵に回すような

                 事までさせて…。ホントに悪かったと思ってる。

    アレッサ:それなら!なんで…。ずっと一緒に戦ってきたじゃない。私を置いて死ぬつもり!?絶対許さない。

          私もここで死んでやる!

    タージュッ・ディーン:バカを言うな。俺にはもう居場所がないんだ。わかってくれ。

  背景 ゆっくりと抱きしめ、頬に優しくキスをする。

    タージュッ・ディーン:ありがとう。君と過ごした時間はホントに幸せだった。もし境遇が違ったらきっと

                 いい関係でいられたと思う。愛してるよアレッサ…。

    アレッサ:嫌々!!私を置いて行かないで!一人にしないで!!!!イヤ…イヤぁ…

    タージュッ・ディーン:アレッサ…。

背景 タージュッ・ディーンは机の上に一丁の拳銃を置いた。

    タージュッ・ディーン:自分の道は自分で決めろ。信念を貫き通せ。

 SE 車両の音

  背景 そういうとアレッサの制止を振り切り、一人車両に乗り込んだ。もはや止められる者はいない。

    アレッサ:…(泣きながら)自分の…信じる…道……。


第四話 END

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