『オペレーションオブイラク The army of Ansar Al-Sunnah 第一話』

   配役

         合衆国陸軍
       駐留総合派兵旅団
      

     アルバート・ヴァイス大尉:♂

     ドナルド・ウェイン少尉:♂  

     ジェシカ・マクレイン衛生兵:♀ 

     アレッサ・ウォーカー軍曹:♀ 

     アンソニー・ナイト上等兵:♂ 

     フレデリック・ホワイト上等兵:♂ 

     
     イスラム教スンニ派武装組織

     アンサー・アル・スンナ軍

     タージュッ・ディーン:♂ 

     ヤースィル:♂ 

     ムーニス:♂  

     ムジャーヒド:♂ 

     バースィル:♂

ナレーション:♂♀ 


                 この物語はフィクションです。

              2003年3月19日

              合衆国大統領ジョージ・ブッシュ大統領
              により、9.11無差別テロ事件の報復作戦が行われた。
              米国は、陸軍、海兵隊、空軍など様々な部隊を派遣したが、
              普段戦闘には程遠いと思われがちな州兵を集めた部隊も多数出撃していた。
              駐留総合派兵旅団とは、人員確保の為エリートと実戦経験のない兵士を
              混合して編成した部隊である。
 
              


  OP:052 - Suyoof.mp3  


  イラク南部 サマワ付近

  (全体的に疲れていることを前提で)
  ヴァイス大尉:よし、この辺で少し休もう。(全員へたってる その場に座り込む)

  マクレイン衛生兵:あぁ、喉が渇いた…少尉、水筒下さい。(30キロ行軍後 くたくた)

  ウェイン少尉:(ベルトから水筒を外し)よいしょっ。ほーらよ。

  マクレイン衛生兵:ありがと。

  ヴァイス大尉:おい、みんな。周囲には気を配れよ?

  ナイト上等兵:大尉、心配ないですって。他のとこに比べりゃ、静かなもんですよ。

  ホワイト上等兵:ママが恋しくなったか?今帰れば子守唄歌ってくれるってよ。

  ナイト上等兵:黙ってろ。

  ウェイン少尉:ウォーカー軍曹。

  ウォーカー軍曹:あ、はい少尉…。

  ウェイン少尉:大丈夫か?

  ナイト上等兵:アリー、どこか具合が悪いのか?

  ウォーカー軍曹:あ、ごめんなさい。装備がいつもより重いから、ちょっと疲れちゃったの。

  ナイト上等兵:いつもの元気はどうした、あん?そんな顔じゃ、せっかくの可愛い顔が台無しだ。

  マクレイン衛生兵:あんたの顔よりはマシよ。(マ・シ・よ※ ?よ?は少しあげて)
  (背中合わせのナイトに振り向いて)ブレス入れながら
  ホワイト上等兵:あぁ、言えてる。

  ナイト上等兵:少尉〜みんなひどいっすよー…。

  ウェイン少尉:ん?俺もそう思ったが。

  ナイト上等兵:帰ったらまとめてローストにしてやる…(爆)

  ウォーカー軍曹:ふぅ。。。よしっ!アリーちゃんふっかーつ!!はい、みんな立って立って〜。

  ホワイト上等兵:ちゃんって…(笑)




  サマワ南西部

  タージュッ・ディーン:ここに設置しよう。やつらは必ずここを通るだろう。

  ヤースィル:なぜやつらがここに来るとわかるのですか?同志。

  タージュッ・ディーン:いいか。我がイラクの右半分はアメリカに制圧されている。

             装備も武器もあちらが有利だ。放っておけば左側もあっという間に

             占拠されてしまうだろう…

  ヤースィル:なるほど…。ここから市街地に入るには、この橋を通らなければならない。

        待ち伏せをかければ、かなりのダメージを与えられる。

  タージュッ・ディーン:イラクは取り戻す。全てはアッラーの御為に…

  一同(代表ヤースィル):アッラーーーーワクバル!!!!!アッラーーーワクバル!!!!

  ムーニス:おい、迫撃砲はここだ。橋を壊しても構わん。ただし発射は俺の指示を待て。

  ムジャーヒド:了解。

  バースィル:了解。

  ムジャーヒド:弾持ってるか?

  バースィル:タバコとなら交換してやるよ。

  ムジャーヒド:うるさい、さっさとよこせ!

  バースィル:わかったわかった。

  ムジャーヒド:同志、これから戦闘ですか?

  タージュッ・ディーン:あぁ、やつらが橋を渡りきる前に攻撃する。そういや、お前は初めてだったな。

  ムジャーヒド:はい、同志。蜂の巣にしてやりますよ!

  タージュッ・ディーン:相手の力を見くびるんじゃない。確実に当ててくるぞ。

  ムジャーヒド:手柄を立ててアッラーに認めてもらうんです。

  タージュッ・ディーン:無茶はするなよ?時には逃げることも必要だ。

  バースィル:仲間が沢山死んでるんです。仇は必ず…!!

  タージュッ・ディーン:いや、彼等(仲間)はアッラーの元に行ったんだ。今はただ己のするべき事

             をやり遂げるんだ。いいな?

  ムジャーヒド:血が騒ぐぜ…。




  イラク南西部 市街地への橋


  ウォーカー軍曹:ねぇねぇ、昨日大隊の人たちが言ってたんだけど、ラディンを捕まえたってホント?

  マクレイン衛生兵:捕まえてなんていないわよ。ギリギリのとこまで追い詰めたのに、本部が逃がせ

           って指示を出したの。

  ウォーカー軍曹:えー、なんで??私達ラディンを捕まえに来たんじゃないの?

  ヴァイス大尉:国はまだ、この戦争を終わらせるわけにはいかないんだ。それにフセインがいる限り

         ラディンは絶対に死なないのさ。

  ウェイン少尉:国民の怒りを晴らす為に、俺達はここにいる。でも大統領の戦争ごっこに付き合って

         る俺達もいるんだよな。

  ウォーカー軍曹:なんの為にこんなとこにいるのか、わかんなくなっちゃった。

  マクレイン衛生兵:いいじゃない。もしもの時はあたしが手当てしてやっから!(背中叩く感じで)

  ウォーカー軍曹:ヤダヤダ、怖いのキライ。撃たれて死んじゃうなんて絶対イヤ!

  マクレイン衛生兵:あんたね…何年軍人やってんのよ。国の為に死ぬくらいの覚悟はないの?

           これだからあんたの部下はへなちょこばっかりなのよ。(にやけながら)

  ウォーカー軍曹:だってー、私銃の音キライだし、人に銃向けるのだって可哀想で出来ないんだもん。

  ウェイン少尉:あはは、アリーは一番ここにいちゃいけないやつだよな。

  ナイト上等兵:そんなアリーはみんなのアイドルなんだよねー。辛い訓練も苦にならなくなるのが

         面白い。

  ホワイト上等兵:お前、ホントに国を守る気あんのか?

  ナイト上等兵:こんな可愛い子目の前にして、なんとも思わないのはお前くらいなもんだよ。

  ホワイト上等兵:ば、バカ野郎!そりゃ、俺だって…か、可愛いとは思うよ。うん。でも、それは

          それだろ!俺は軍人の精神を言ってるんだ!

  ウェイン少尉:フレディの言うとおりだぞ?合衆国よ永遠にだ。

  ウォーカー軍曹:えへへ、ジェシカには敵わないよ〜。でも帰ったらお礼に美味しいケーキ焼いてあげる

          からね♪

  ナイト上等兵:やっほー!帰ったらみんなに自慢してやろうぜ!!

  ウェイン少尉:恨まれるぞー?刺されるかもな(笑)

  ヴァイス大尉:お喋りは終わりだ。見ろ、あの先の橋を。斥候を出す、全員伏せろ。

  ウェイン少尉:フレディ、アリー、橋の先を調べてこい。後ろから援護する。

  ホワイト上等兵:アリー行くぞ!

  ウォーカー軍曹:あ、う、うん…。

  ヴァイス大尉:ウェイン少尉とナイトは橋の左右を見張れ。マクレインは俺の背後を警戒しろ。

  ウォーカー軍曹:(走りながら)はぁ…はぁ…怖いよ、怖くて手が震える…

  ホワイト上等兵:(走りながら)大丈夫だよ。どうせ誰も居やしないって。心配ない。守って…や…

  タージュッ・ディーン:来たぞ。あれは恐らく斥候だろう。指揮官がいるはずだ。

  ムーニス:同志、待ちますか?

  タージュッ・ディーン:いや、全員殺す……やれ。

  ムーニス:はい。同志。バースィル、ムジャーヒド。攻撃開始!

SE 81mm迫撃砲 発射音



  ホワイト上等兵:え…嘘…だろ…?アリー!!!!逃げろぉぉおぉおぉ!!!!!!!

  ウォーカー軍曹:はぁ…はぁ…えっ?

  激しい音とともに吹き飛ぶウォーカー軍曹。弾の破片がホワイト上等兵の足に突き刺さる。



  ナイト上等兵:あ…あ…アリー…アリーぃぃぃぃ!!!!!!!

  ヴァイス大尉:よせ!!行くんじゃない!!

  ナイト上等兵:放して下さい大尉!!!アリーが!アリーがっ!!!!

  ヴァイス大尉:バカ野郎!!今出て行ったら殺されるぞ!!

  ホワイト上等兵:ぐっ…がっ…や、野郎…

  ヴァイス大尉:いたぞ!橋の下の茂みの中だ!!マクレイン!ナイトを連れて橋を渡りきるんだ!!

         ウェイン少尉は二人をカバー、俺は反対側から下に降りる。橋の下を通過するのを

         見届けてからお前も降りて来い!!

  ウェイン少尉:了解!

  マクレイン衛生兵:了解!ナイト!!行くわよ!しっかりしなさい!!!

  ウェイン少尉:合図で飛び出せ!1、2、3、行けっ!!

  SE 援護射撃の音



  タージュッ・ディーン:ヤースィル、ムジャーヒドを連れて真っ直ぐ進め。橋の手前に一人いるのが

             わかるか?あいつを狙えるとこまで走ったら、物陰に隠れて狙撃しろ。いいな!

  ヤースィル:はい。同志!

  タージュッ・ディーン:ムジャーヒド、お前はヤースィルの狙撃地点から橋の下に潜り込め。

             橋の反対側から手前にいるやつの背後を取るんだ。

  ムジャーヒド:任せて下さい同志!!

  タージュッ・ディーン:ムーニス、バースィル、俺と来い!ムジャーヒドを援護する。行くぞ!!

  銃撃戦.mp3



  橋の真ん中にいる、負傷したホワイト上等兵にたどり着くマクレイン衛生兵。

  マクレイン衛生兵:フレディ!大丈夫?しっかりして!!

  ホワイト上等兵:あぁ、俺は大丈夫だ……くっ…それより…アリーを……。

  マクレイン衛生兵:足に破片が刺さってる。

  ホワイト上等兵:…いいから…先にアリーを…がぁっ…。

  マクレイン衛生兵:わかったわ。このまま動かないで!必ず戻るから!!

  ホワイト上等兵:ぁ…アリー……アリー…。

  ナイト上等兵を引きずりながらウォーカー軍曹の場所へ向かう。

  マクレイン衛生兵:はぁ…はぁ…はぁ…。ナイト、ほーらちゃんと立って!!

  ナイト上等兵:あぁ…あぁ……。

  マクレイン衛生兵:はぁ…はぁ…はぁ…アレッサ!(←少し距離がある)怪我を見………ひっ!!(アレッサに近づきながら)

  ナイト上等兵:ぁ…ぁ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!

  迫撃砲の攻撃を受けたウォーカー軍曹は、爆破の衝撃で、腹部損傷により内臓が露出していた。

  

  マクレイン衛生兵:ア、アレッサ!アレッサ!!

  ウォーカー軍曹:ぁ…ジェ…シ…かはっ……

  マクレイン衛生兵:喋らないで!今助けてあげるから!!

  ウォーカー軍曹:ごめ…ね…?おね………。

  マクレイン衛生兵:(泣きながら)いいから!喋らないで!!あんた、国に帰ってお父さんとお母さん

                  に一杯甘えるんでしょ!?こんなとこで死ぬなんてあたしが許さな

                  いんだから!!

  ナイト上等兵:う、嘘だ…アリー…アリー…なんで……あ゛ぁーーー殺してやる!!!!!!


橋の出口付近から乱射するナイト上等兵。そしてその場で膝を落とし、号泣していた。



ウェイン少尉:(無線器)こちらブラッティ・エンジェル、C-2応答願います!くそっ!!

              無線も通じないのか。

  タージュッ・ディーン:よし、うまく後ろを取ったな。…ん?あっ!敵がきたぞ。橋を降りて

             来たか…。

  ヴァイス大尉:向こうは4人か。くたばれっ…!!



  SE ヴァイス大尉がセミオートで一人だけ離れているヤースィルに命中させた。

  ヤースィル:ぐぁ!

  タージュッ・ディーン:ヤースィル!!やりやがったな、くそったれ!!

  ヴァイス大尉:俺を甘くみるなよ。ん?

  背後からムジャーヒドが突っ込んできた

  ムジャーヒド:アッラーーーーーワクバル!!!!!!!

  ヴァイス大尉:まだいたのか!がぁっ!!野郎!!死ね!!!

  激しく格闘を繰り広げ、ついにムジャーヒドの殺害に成功した。だが…



  SE 一発の銃声

  ヴァイス大尉:なっ……き…さ………ま…

  ウェイン少尉:大尉!!!!くそっ!!!!

  ウェイン少尉は橋の中央に向かい、ホワイト上等兵を担ぎ、マクレイン衛生兵のいる橋の
  出口に向かった。

  ウェイン少尉:お、おい…ヴァイス大尉がやられ……アリー…酷いな…

  ホワイト上等兵:アリー……くっ、ちくしょう…。

  ウェイン少尉:追っ手が来ている。ヴァイス大尉も戦死なされた。……辛いが置いていくしかない。

  ナイト上等兵:(泣きながら)イヤだ!!!アリーは助けるんだ!!!死なせるもんか!!!!

  マクレイン衛生兵:(涙を流しながら)………仕方…ないわ…。

  ナイト上等兵:ふざけんなよ!!あんたよくもそんな…!!

  マクレイン衛生兵:あたしだって辛いに決まってるでしょ!?でもここで全員死んだら終わり

           なのよ!!??

  ナイト上等兵:イヤだ!!!アリー!!!!イヤだ…!!!!

  ウェイン少尉:俺がナイトを連れて行く。ジェシカはフレディを頼む。

  マクレイン衛生兵:………了解。

  ナイト上等兵:放せ!!アリー!!!アリー………アリー…!!!!あ゛ぁぁぁぁぁ………

  マクレイン衛生兵:(ウォーカー軍曹に近寄り顔に手を当てる)

           アレッサ…。必ず……お家に帰ろうね……。

  一同イラク市街地へ




  橋の上 アンサー・アル・スンナ軍

  ムーニス:同志、橋の向こうに人が…。

  タージュッ・ディーン:行ってみよう。

  ウォーカー軍曹のところへ行く。

  ムーニス:こりゃ、えらい傷だ。助からないのでは?

  ウォーカー軍曹:ぁ…ぁぁ…ぅ…

  タージュッ・ディーン:お前、楽になりたいか?

  ウォーカー軍曹:ぃ…ゃ……め……て……

  タージュッ・ディーン:ムーニス、拳銃をよこせ。

  ムーニス:どうぞ。

  タージュッ・ディーン:お前の神の元へいけ。じゃあな。

  バースィル:アッラー!!!!ワクバル!!!!アッラー!!!ワクバル!!!! 

  薄汚れた空気の中、一発の銃声が響き渡った……。

 


  戦死者記録


       アルバート・ヴァイス大尉 イラク南西部 戦死 享年32歳

       アレッサ・ウォーカー軍曹 イラク南西部 死亡 享年24歳

       ヤースィル奇襲隊長    イラク南西部 戦死 享年18歳

       ムジャーヒド尖兵     イラク南西部 戦死 享年13歳




 第一話 END
   ED 070 - Ahmed Bukhatir - Ya Man Yara.mp3

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