『古代神話 ル・リニー』

クトゥルフ:男
ハスター:男
ティスラ:女
グラニー:男
ナレ:男or女

ナレ:古代における神話は数々残されている。だが、実際に多くの人が自殺や悪夢、精神異常を起こした衝撃的な事件がある。
1925年2月28日、海中にその姿を消した古代都市ル・リニー。ニュージーランド、南米大陸、南極大陸の中間点にあるこの遺跡が、
突如として姿を現したのである。その直後、感受性の強い者達は次々と不可思議な現象に見舞われた。
一部の噂では、クトゥルフの悪夢として広まり、その後ル・リニーはまた海中深くに沈んでいった。
これは、クトゥルフ神話に基づいた逸話である。

クトゥルフ:「大いなる深淵(しんえん)の神ノーデンスよ!我の願いを叶えたまえ!」
ハスター:「クトゥルフよ。そなたの願いとは何か。」
クトゥルフ:「貴様に教えることなど何もない。去れ!」
ハスター:「そうはいかん。古(いにしえ)より、邪悪な支配者は破滅をもたらせてきた。
     故に(ゆえに)、場合によってはそなたを殺さねばならん。」
クトゥルフ:「笑わせるな。何が邪悪なものか。この地は、旧支配者ノーデンスによって秩序と平和が保たれた。
      我はこの地を支配し、再び平和と安楽を与えよう。
ハスター:「愚かな…。この世界に安住の地など何処にもない。周りを見ろ。
    雨が降らず飢餓が続き、死んだ人間で溢れかえっているではないか。」
クトゥルフ:「破滅は豊穣を生む。そして新たな世界が開かれる。」
ハスター:「そうはさせぬ。そうはさせぬぞクトゥルフよ。」
クトゥルフ:「ほう、我を止めてみせるか。よかろう。」
ハスター:「…サトールディアファーレス。メサディアクタドーレ。」
クトゥルフ:「な、なに…!?」
ハスター:「ルピナスヴィルハカーン。ザルディアパトス、カブィルジルクマーレス!!暗黒魔に永遠(とわ)の眠りを。葬り去れ!」
クトゥルフ:「熱い!体が熱い!き、貴様ぁぁ!ザメクバルスサカディアフォーラ!」
ハスター:「エタールエタールラディアホーン。神の名において、その身を封じたまえ!!」
クトゥルフ:「グギャャ!」
ハスター:「安らかに眠りにつくがよい。さらばだ。」

ナレ:「クトゥルフはハスターによって封印された。だがこの後、恐ろしい出来事が起こる。」

グラニー:「今宵の月は実に美しい。水の神クトゥルフへの生贄、ティスラよ。準備は出来ておるか。」
ティスラ:「はい…司祭様。神への生贄になれるのは、とても喜ばしいことにございます。」
グラニー:「ティスラも17になったな。よくぞここまで育ってくれた。後は存分に喰われるがよい。」
ティスラ:「は、はい…。」
グラニー:「顔色が優れんな。大丈夫か?」
ティスラ:「も、申し訳ありません。平気にございます。」
グラニー:「民の為、多くの命を救う為。全てはそなたにかかっておる。」
ティスラ:「はい…承知しております。」
グラニー:「メッダールアンザメラクヴィンダッダール!」

ナレ:「グラニー司祭はティスラに油を塗りつけ、麻薬の葉を燻し(いぶし)た。ティスラは意識が朦朧とし、祭壇に寝かされた。

グラニー:海原を納めし神よ!今ここに生贄を捧げたもう!この地に水を!雨を!恵み給え!」

ナレ:すると轟音と共に、クトゥルフの雄叫びが聞こえた。同時に、人々が次々と倒れ、頭の激痛にのたうち回っていた。

グラニー:「頭が!!頭が割れる…!!」

ナレ:「クトゥルフの出現により、精神異常で錯乱した人々は剣を振り下ろし、殺戮の地獄絵巻となった。
   こうして、クトゥルフは魔物として恐れられ、再び封印された。クトゥルフの悪夢はこれからも続くであろう。」

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