『Heaven and hell』

ミカエル:男
ウリエル:女
ラファエル:男
ガブリエル:女
ルシファー:男or女
屍人(しにん):男or女

屍人:最初は信じられなかった。こんな世界が本当にあるなんて…。

審判の場
ミカエル:天に召されし御霊(みたま)よ。我が御前(ごぜん)に跪(ひざまず)き生前(せいぜん)の行いを全て告白するのだ。
ウリエル:ほら、さっさと吐いちゃいなよ!まぁ、内容によってはあたしが落とさなきゃいけなくなるんだけどね〜。きゃはは。
ラファエル:こら、ウリエル。怖がらせるような事を言うんじゃない。
ガブリエル:しっかし最近は多いよね〜。やたらと人間が死ぬもんだからこっちの仕事がいつまで経っても終わりゃしない。ねーウリエル〜。全部焼けないのぉー?
ウリエル:そーんな事したらミカエルにげんこつ食らうよ!ちゃんと選ばなきゃ!
ガブリエル:だよね〜。もぅ、そろそろ面倒くさいんだけど。
屍人:あ、あの…。
ウリエル:あ、喋った。
ガブリエル:喋ったね。
ラファエル:話せるのか。
屍人:あ、なんかすいません…。自分はその…交通事故で死んでしまったようで。買い物に行く途中だったんです。母さんにも父さんにも申し訳なかったと思います。悲しむ姿はツラくて見ていられなかったです。せめて成仏して、彼岸(ひがん)に帰れたらって。
ミカエル:それが全てか。ツラい思いをしたんだな?
屍人:はい…。もう、涙も枯れました。
ミカエル:ウリエル。
ウリエル:はぁーい!そこのあんた!こっちにおいで!
屍人:は、はい…。
ガブリエル:久しぶりかもウリエルのセイントオーブ。
ウリエル:サタナスオリエティブハーレ。汝(なんじ)の御霊(みたま)を天に。ディブラスハルスドーラ。せいっ!
屍人:えっ?うわぁ!
ガブリエル:お疲れさん。
屍人:あぁー!
ミカエル:花と戯(たわむ)れ光を浴びて永遠に眠りたまえ。さらばだ。
ウリエル:ふぅ…。もうヤダ!疲れた!
ミカエル:偉いぞウリエル。最近は少し死人が多すぎる。ルシファーにも聞く必要がありそうだな。
ラファエル:では、私が参りましょう。
ウリエル:あたしも行くー!
ガブリエル:分かったわよ。付き合うわ。

地獄
ルシファー:おやおや皆さんお揃いで。何の用?
ウリエル:ちょっとー!あんたのとこ、死人の整理どーなってんのよ!
ルシファー:はぁ?
ラファエル:失礼した。最近、最後の審判に来る人間が多すぎるのです。我々とて毎日処理に追われ困り果てているのです。
ルシファー:ふん!知らないね。ここにゃ、あんたらが落とした連中がゴロゴロしてる。腐った死体なら山ほどあるからどれがどれだか分かりゃしないよ。なんであんたらの手伝いをこのルシファー様がやらなきゃいけないんだい?
ガブリエル:堕天使のくせに。
ルシファー:おい!なんか言ったか?
ガブリエル:い、いえいえ!何も言ってませんはい!
ルシファー:全く…。あのね、こっちも今てんてこ舞いなんだ。難民や兵士の低俗霊(ていぞくれい)ばかりで使いものにならない。生霊を喰らうにも、術師の連中が儀式をやらなくなってきてるから取り込めない。大変なのはあんたらだけじゃないんだよ。
ラファエル:そうでしたか…。
ルシファー:正直に話してやるけど使い魔まで戻ってこない始末だ。これ以上どうしろってんだい。
ラファエル:事情はわかりました。お忙しい所お邪魔しました。
ルシファー:用が済んだならさっさと帰りな!イライラが増える!
ウリエル:ちょっとヤバいよ。
ガブリエル:帰ろラファエル。
ラファエル:そうですね。戻りましょう。

審判の場
ラファエル:というわけなんです。
ミカエル:困ったものだな。あのルシファーでさえ手に負えぬ始末とは…。人間界で一体何が起きてる。
ウリエル:そぉ〜っと。
ミカエル:ウリエル。
ウリエル:うわぁ!
ミカエル:調査せよ。このままでは我々では処理しきれなくなる。いいな?
ウリエル:は、はい…。うぅ〜…。
ガブリエル:悪いけどミカエル、ウリエル一人じゃ行かせられない。私も行かせてちょうだい。
ミカエル:よかろう。
ウリエル:ラルフヴァンエカテソロヴォス。
ガブリエル:ラルフヴァンエカテソロヴァン。

光に消えていくウリエルとガブリエル。

人間界にて
ウリエル:よっと。
ガブリエル:ふぅ。
ウリエル:あたし、どうかな?
ガブリエル:いいんじゃない?天使には見えないわね。
ウリエル:ガブリエルも中々決まってるじゃん!
ガブリエル:モタモタしていられないわ。早速調査を。
ウリエル:はぁーい!

フランス パリにて
ウリエル:ねーねー、なんか色んな人がこっち見てくるよ?
ガブリエル:気にしないの。
ウリエル:ねーねー、なんか騒いでるよ?大丈夫なの?
ガブリエル:あっ!
ウリエル:えっ!何!?
ガブリエル:人が…死んだ。
ウリエル:なんで!?なんで!?
ガブリエル:殺し…。ミカエルに報告ね。
ウリエル:死んだんじゃなくて、殺された人ばっかってこと?
ガブリエル:あり得るわね。
ウリエル:これ…マズくない?
ガブリエル:マズいわね。
ウリエル:寿命ならともかく人為的(じんいてき)にこっちに送られてるなら…。
ガブリエル:絶(た)ち切らないと。
ウリエル:どうやって?あたし達にそんな力はないよ。
ガブリエル:そうだけど…。とりあえず戻りましょう。ミカエルと話さなきゃ。
ウリエル:うんっ!

審判の場にて
ガブリエル:って事なのよ。どう思う?
ミカエル:それは酷い話だな。人間が人間を殺してこの場に座らせるとは。愚かな事を…。
次の審判からは厳しくしよう。もう限界だ。
ガブリエル:えぇ。ウリエルに更に強大な力を。滅却(めっきゃく)出来るのは彼女だけだから。
ミカエル:よかろう。…人の死とは儚いものだ。それに審判を下す我等はルシファーとの縁も切る訳にはいかない。ツラい所だ。さて、次の審判だ。

END

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